スキルス胃がんとは
端的に言うと、スキルス胃がんの特徴は生存率が低く、発見された段階で残されている余命が長くないことが多いことです。悪性度が高いため、治療が難しい状態になっているのです。
スキルスとは、硬がんの意味です。進行すると胃が縮み、その名の通り硬くなります。胃壁の中で癌細胞が横に広がっていくのですが、一般的な胃がんのように粘膜の表面に潰瘍や隆起を形成することが少なく、検査を行っても見つけづらい傾向にあります。そのため、初期症状の段階で見つけることは難しく、進行して転移がある状態で見つかることが多いのです。
やや難しい話になりますが、日本胃癌学会という専門医等によって構成されている学会がまとめた取り扱い規約に基づくと、肉眼型分類が4型に分類される進行胃がんがスキルス性と呼ばれています。この点についてはあまり詳しく説明しても複雑になるだけですので、これ以上は触れません。
スキルス性が胃がんの全体に占める割合は1割ほどです。そのため、かなり限られた割合となるのですが、胃がんの患者数が癌の中でも多いために、決して珍しい病気ではありません。
胃がんは中高年の男性に多く見られる疾患ですが、スキルス性の場合には30代から40代の女性に多く見られます。女性ホルモンが関わっているという説もありますが、関係は明確になっていません。比較的若い世代ですので病気になるという危機感も強くないことが多く、発見が遅れる原因の一つになっています。
スキルス胃がんは画像診断で見つけづらい
定期的に検診を受けてバリウムを飲み、レントゲン写真を撮影している方もいます。X線検査という名前で呼ばれることもあります。死亡率を下げる効果が確認されている有効な検診の手段なのですが、残念ながらスキルス胃がんは胃壁の表面に異常がすくないため、画像を見ても分かりづらいことが特徴となっています。
つまり、症状がよほど進行してしまわない限り、画像診断では発見するのが難しいのです。これによって早期発見が困難になり、悪化してしまうことにつながっています。
レントゲンの画像よりも詳細な情報が得られる内視鏡検査であっても、残念ながら見落とされてしまうことが多く、早期発見に有効とは言えません。結局、自覚症状がないうちには発見が困難なのですが、進行するまでは明確な兆候が現れることもなく、転移が進んで治療が難しくなるまで見つからないことが多いのです。
スキルス胃がんの自覚症状
腹痛や腹部が重苦しくなる感覚、吐血や下血、長引く吐き気、食欲不振、腹膜播種という転移による腹水の貯留や腸閉塞といったものがあります。もっとも、自覚症状というよりも、進行してから自覚できるようになることが多いため、残念ながらこれらの兆候が現れたら、早期ではない可能性が高いと言えます。
ただし、スキルス胃がんに特有の症状ではないため、まったく異なる病気が原因である可能性もあります。多いのが胃潰瘍や胃炎ですが、その他にも様々な疾患が同様の症状を引き起こすことがあるため、気になる時には早めに病院に行って診断を受けておきましょう。
スキルス胃がんの生存率
命に関わる病気ですから、生存率という概念が重要な意味を持ってきます。これが高ければ、一定期間が経過しても生きていられることが多くなりますし、低くなれば残念ながら死亡する確率が高いことになります。
胃がん全体の5年生存率の目安として、ステージ3期であれば40%、4期であれば10%を切ることになります。ステージは病期とも呼ばれており、症状の進行度を表しており、4期がもっとも進行した状態になります。したがって、どの程度悪化した状態であるかによって、生存率も変わってくるのです。
スキルス性の場合にも症状の進行度によって生存率は変わりますが、決して楽観できる数字ではないことは、上記の目安からもうかがい知ることができます。
スキルス胃がんの余命
末期になってしまうことが多いため、余命について考えなくてはならなくなるケースが多い病気であると言えます。患者さん本人に告知することによって生きる気力を失わせてしまうこともあるため、あえて宣告は避けることもありますが、昔と比べると事実を伝えることが増えているようです。
余命が限られた状態であれば、残された時間で後悔や心残りのないように人生を終える準備をしておきたいと願う方も多いため、告知は悪いことではありません。ただし、心理的な負担は大きいため、慎重に行うべきものであることは言うまでもありません。
気持ちを落ち着かせて前向きに生きることができれば、スキルス胃がんが末期症状になり、余命が長くはない状態であっても、価値のある時間を過ごすことができます。そのためにも家族や、病院の医師や看護士の支えが求められます。
考え方によって、余命が分かっていることは唐突な事故死のようなものよりも期間に猶予を与えられたことになりますので、やり残したことがない状態を整えるためのチャンスであり、準備期間にもなります。その反面、死を意識せざるをえない残酷な時間でもあります。受け止め方は人によってまちまちですが、やはり心理的なプレッシャーは計り知れないものですので、できるだけ周囲の協力が必要です。
主治医から余命を告げられたとしても、それは平均的な目安に過ぎません。実際には、教えられた時期が過ぎても長く生き続ける方もいますので、絶対視することはありません。あくまでもおよその見当と考えておきましょう。
治療方法
特殊な治療法が取られているわけではなく、手術や化学療法、放射線といった胃がんに用いられている方法がスキルス性の場合にも用いられています。ただし、症状が進行していたり、末期になっていたりすることが多いために、なかなか良好な結果は出ていません。
たとえば、手術は病巣を取り除くために有効な治療法となるのですが、広範なリンパ節転移や多臓器への遠隔転移、腹膜播種という腹腔内に癌細胞が広がっていることが多いため、根治手術が適用されるケースは限られており、半数にも満たないとされています。予後も良好とは言えず、術後に再発することも多くあります。
転移している場合にも使える治療法として、抗がん剤による化学療法があります。ただし、以前は有効な薬剤が存在しませんでした。しかし、現在ではTS−1という薬が使用できるようになり、効果が有望視されています。
このことは、化学療法を単独で用いる場合に希望をもたらしただけではなく、手術の補助療法として術前に用いることで腫瘍を縮小させて切除を適用できる範囲にしたり、術後にTS−1を使用することで再発を予防することにもつながっています。
とはいえ、完治させることは容易ではなく、克服できたように見えても、時間が経過すると再発してしまうことが多いのも事実です。
医師に手遅れと言われてもあきらめないで下さい。
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